パリ・デザイン・ウイーク
世界一のエキスポ・シティ、パリ
パリは毎年数千万人の観光客が国外から訪れるだけでなく、数多くの国際見本市が開催される世界最大のエキスポ・シティ(産業博覧都市)だ。ファッション・インテリア分野だけでも1年間に27もの国際見本市がある。しかし近年は、ロンドン、ミラノなどの追い上げも激しい。すでに世界では、ファッション以外でもデザインが消費材ビジネスの牽引役となってきており、それを推進するデザイン・ウイークが世界の都市という都市に拡がる中で、パリも遅まきながら今年初めて加わることになった。
メゾン・エ・オブジェの主催社であるSAFIは、現在PARIS CAPITALE DE LA CREATION(創造の首都パリ)という計画をパリ地域圏経済開発公団とともに推進しており、このパリ・デザイン・ウィークも彼らの主催だ。SAFIの役員によれば、この数年ほどの間にイタリアなどのインテリア・メーカーもショールームを次々とパリに開店させているので、その広報やプロモーションの需要もあって、大規模なデザイン・イベントを市内で開催する機が熟したとのことだった。
Cité de la Mode et du Designはアウステルリッツ駅に近い船荷倉庫を、レストラン・バーや貸しスペースにリノベートしたもので、今後は若手デザイナー育成のために低家賃でオフィスを貸し出していく予定だ。デザイン・ウイーク期間中はメゾン・エ・オブジェnow!の場外版now!le Offが開催されていた。メゾン・エ・オブジェに出展するにはまだもう一歩という若手が、まずここで作品発表してnow!へのチャレンジ権を手に入れるのだろう。
パリも東日本を応援している
そのCité de la Mode et du Designでは、SAFIが震災後の日本を応援する「Dessine Moi le Japon(日本を描いて) 展」を開催していたのでぜひ紹介したい。
ジョルジュ・アルマーニ、高田賢三、クリスチャン・ラクロア、シャンタル・トーマスといったファッションデザイナーからハビエル・マリスカル、カリム・ラシッド、コンスタンチン・グルチッチといったプロダクトデザイナー、さらに建築家ジャン・ヌーヴェルやパティシエのピエール・エルメといった錚々たる人々が、日本の震災復興支援のためにデッサンや写真のコラージュなどを寄せてくれていた。いずれ来年早々にこれらの作品のオークションを行い、売上を被災地に寄付したいとのことだ。写真はフランスで実力派のインテリア・デザイナー、シルヴァン・ドゥビュイッソン氏が寄せていた作品。
実は私が今回パリを訪問したのは、メゾン・エ・オブジェの視察のためだけでなく、日本の伝統工芸を紹介する2つの展示を行うためだった。パリには国際交流基金の海外拠点としてパリ日本文化会館という立派な文化施設がある。これまで数多くの展覧会を開催し、また映画・演劇、茶道・華道の紹介などを通じて、日本文化をフランスに浸透させてきた。
ここで現在「東日本からの声」という、東北地方の職人達による手工芸品の展示を行っている。今や全国で伝統産業の職人は高齢化しその数は減るばかりだが、その中で今回の大震災が起こった。彼らが再び前向きに仕事に取り組む意欲を持てるよう、フランスを始めとする海外の理解者を増したいと考えた。
http://www.mcjp.fr/francais/expositions/messages-de-l-est-du-japon-303/messages-de-l-est-du-japon
もう一つは日本の若手工芸作家を応援する、パリ目抜きの通りに設けた弊社ギャラリー・スペースでの展示だ。金沢にある卯辰山工芸工房という研修施設では、陶磁器、漆、染め、金工、ガラスの5分野で、日本全国から選抜された研修生が研鑽を積んでいる。そこから巣立った若手作家達は今や日本の工芸を支える輝かしい才能となっているが、経済的に厳しい状況にあるのは伝統産業の職人達と同じだ。日本の伝統文化を失われた過去のものとしないためにも、ぎりぎりのところで頑張っている彼らにエールを送り、勇気づけていきたいと思う。
写真は、パリの有名日本レストラン「花輪」の1階にあるショールーム。場所はモンテーニュ通りから一歩入ったところで、向かいはシャネルの本社、隣はフランス第一のラジオ局で、プロフェッショナルな発信力が期待できる。
http://www.craftec-japan.com/ja/showroom/
船曳鴻紅