« 2010年のサローネ・レポート | メイン | 大連家具見本市 »

独 照明見本市 Light & Building

フランクフルトで隔年で開催される照明見本市Light & Buildingは、今やイタリアで開催されるユーロ・ルーチェをしのぐヨーロッパで最大の照明見本市になっています。最大の理由は、今の時代の照明は、照明器具を楽しむと言うよりは建築空間そのものを楽しむようになってきたためです。20年前はまだ目新しかったマンションの建築照明(あらかじめ仕込まれている照明)も、今はリビングの間接照明など当たり前に使われるようになりました。そのLight & Buildingが今年4月に開催されたレポートをします。

街の中央にメッセ会場があるフランクフルトはドイツというか全欧の金融のメッカです。人口は約70万人程度でドイツ第5の都市ですが、ドイツ銀行とヨーロッパ銀行という超一流の金融機関本店があり、以前は「金儲けのみの街、 バンクフルト」と呼ばれるほど文化性があまり見られない都市でした。しかしフランクフルト市の社会党が1970年ミュンヘンの文化局長をしていたホフマンを招聘し、 彼が都市文化を高めることは経済効果をもたらすと文化政策を進めたことで、近年文化都市への変貌を大きくとげています。そういった背景のもとで、フランクフルト・メッセ(国際見本市を運営する市の第3セクター)と街は、単に外からの集客を図るコンベンション・シティという経済効果だけでなく、市民に広く文化的な豊かさをもたらすという福祉効果によって支え合っています。

  %E5%8D%9A%E7%89%A9%E9%A4%A8%E9%80%9A%E3%82%8A.jpg

高層ビル群からマイン川をはさんで川沿いに、映画、建築、郵便、美術といった13の博物館・美術館が並びます。郵便博物館を除いて、他は昔からの豪邸を改装し利用していて、日本の自治体も学んでほしいところです。

  %E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E9%83%B5%E4%BE%BF%E5%8D%9A%E7%89%A9%E9%A4%A8.jpg

郵便博物館はミュンヘンオリンピックの競技場の設計をしたギュンター・ベーニッシュによるもので1990年竣工

そしてLight & Building会期中は、フランスのリヨンのように街中が一体となった光のイベントが開催されます。LUMINALEというこのイベントは、単に建物をライトアップするだけでなく、現代美術と一体となったインスタレーションが街中にあふれ、なかなか見応えのあるものです。

  %EF%BE%8C%EF%BE%97%EF%BE%9D%EF%BD%B8%EF%BE%8C%EF%BE%99%EF%BE%84%EF%BE%97%EF%BD%B2%EF%BE%83%EF%BD%A8%EF%BE%9D%EF%BD%B8%EF%BE%9E2004.jpg

改装中のビルを使った照明イベント (2004年)

  LUMINALE2.jpg

一般のビルをも会場とした、百数十の照明イベントが参加するルミナーレは、夜中まで各イベント会場を巡る無料巡回バスが用意されていて、市民が気軽に参加できるようになっています。

ところで今年で6回目となるLight & Buildingですが、今や照明に関しては、本家ハノバーの産業総合見本市をも凌駕しつつあるように思われます。日本のメーカーも徐々に数を増して、日本の先端技術を生かした企業群も十社ほど出ています。東芝、遠藤照明、スタンレーといったところです。いずれもLEDランプの開発で、環境技術というこれからのマーケットを捉えていこうとしています。

  thumb_150_2b.jpg

中でも目をひいたのは三菱化学が照明家の内原智史さんに依頼した有機EL(OLED)の照明器具で、心地よいアンビエンテな光を追究するコンセプトは、NEDOが出展していたOLED事業と好対照をなしていました。NEDO事業はLEDに同じ機能で対抗しようとしているため、OLEDの課題である高コストは世界市場規模の量産体制がとれなければ解決できないという、鶏と玉子の関係にはまってしまっています。一方で三菱化学は、OLED材料を蒸着でなく塗布でいくことで解決を図っています。日本が世界に今のところまだ先行技術を誇れるOLEDに国を挙げて期待がかかっていますが、安定性などまだまだ解決すべきハードルは高く特にコストの問題が立ちはだかります。三菱化学のような柔軟な開発手法が望まれると思います。

Philips.jpg

Light & Buildingで存在感を誇るのは、電機・家電メーカーで世界最大級のフィリップス。LED照明においても世界の覇者となろうとしている。 LED.jpg

無機LEDで各社が活発に開発を進めていたのが、色調のコントロール機能でした。店舗で商品特性に合わせた光を作り出すことや、大画面で効果を出すことなど、これからの照明の可能性を追求しています。

  %E4%BA%BA%E6%B0%97%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9.jpg

人気ブースだったのは、LED球を配線なしで壁面や天井にピン止めし、好きなように楽しめるというシステム。インテリアデザイナーにとってうれしい製品です。

日本の伝統地場産業2社も出展しています。和傘の「日吉屋」と絞り染めの「スズサン」です。共に消え果てそうな日本の伝統技術を照明という新しい分野に持ち込んで、伝統産業の再生に挑戦しています。メイン・エントランス入って直ぐのホール1の、しかも入口付近にブースをかまえて、初日の朝から引きも切らないバイヤーの応対に追われていました。

  %E6%97%A5%E5%90%89%E5%B1%8B%E6%96%B0%E8%A3%BD%E5%93%81.jpg

京都の老舗和傘屋の日吉屋は、3年前から和傘の骨組み技術を使ったランプシェードを開発。すでに海外でも人気商品となりつつあります。

  %E6%97%A5%E5%90%89%E5%B1%8B.jpg

左はJETROの輸出促進エージェントの草野氏、右が日吉屋の西堀氏

%E3%82%B9%E3%82%BA%E3%82%B5%E3%83%B3.jpg

 スズサンはスイスの照明メーカーと契約を結び、そのブースに出展。絞りの布に酸化チタンの光触媒を施した画期的な照明と言えます。

(船曳 鴻紅)