家具メーカー5社サローネに参戦
sozo_comm JAPAN展 出展参加企業 :
(株)イヨベ工芸社、カリモク家具販売(株)、マルイチセーリング(株)、(株)マルニ木工、(株)リッツウェル
先月27日に終わったばかりの2009年のサローネは、私にとっても大きな意味のある見本市となりました。日本の家具が世界一の家具見本市で世界の家具メーカーに互角の戦いを挑む――ほとんどドン・キホーテのような挑戦だと思えました。それでもあえて「サローネを目指そう」と家具メーカーの方々に申しあげてきたのは、強い上昇志向のベクトルなしには「現状維持」さえ難しい現実が見えたためで、ともかく狭い日本の中でグダグダしていないで世界の壁にぶちあたることで基礎体力をつけようという思いでした。
ところが昨年すでに萌芽があったのですが、今年はビジネスに直結する商談が日々増していって、成約にいたる大きな成果が期待できる状況にあります。これまで製品のクオリティの高さは十分に理解されても、高価格の問題、テイスト・センスの問題、営業力の問題、物流・ストックの問題などなど、三重苦、四重苦の課題が山積していた海外家具市場も、最後の物流・ストックを除けば何とか解決できる見通しが生まれ始めています。
世界経済が今後何年も低迷すると予想される中で、今年のミラノ・サローネはフランスのル・フィガロ紙にも「経済危機が過剰すぎるデザインを抑えて、合理的で創造的な提案がなされている。それは機能性や質を重視し、再び手仕事や技術的なものへの回帰が見られる」と書かれているように、奇抜な意匠を競わなければならなかった過去十年ほどの流れとは一線を画し始めています。世界のバイヤーが、サステナブルな「家具の質」を問題にし始めたときに、これまで雌伏の時を過ごしてきた日本の家具メーカーが世界に再び挑戦する可能性が飛躍的に増してきたように思えるのです。

18~21日は展示設営の日。写真は21日午後3時のsozo_commブースの状態です。工事が遅れに遅れて、一個の家具もまだ設置できない状況。印刷会社から午前11時に搬入される予定だったパンフレットも、十数回も携帯で催促してようやく見本市会場がセキュリティのためにクローズされる5分前にどうにか届きました。
そんな目にあっているのは無論sozo_commブースだけではありません。最も注目度の高いホール8も同様な状況。昨年はポルトナウフラウ・グループが千数百平米のブースを構えていた所には今年はザノッタが入りましたが、そこも下の写真のような進み具合でした。

しかし翌22日午前8時には、ブースの設営が何とか間に合わせてありました。これがイタリア流。何事もきっちり仕事を進める作法の高田プロデューサー以下、日本の展示ディレクション・チームは、気持だけでも疲れ果ててしまっておりました。


ブースの前面には参加5社の椅子がディスプレイされて、朝9時半の開場を待ちます。


まずは「朝礼」から。今日からの6日間を、どう「刈り取りの場」として活かすことができるか、各社少数精鋭の布陣で臨みます。

今年のサローネは照明のユーロ・ルーチェ見本市と併催で、サローネが全15ホール、ユーロ・ルーチェが全6ホールあります。その中の6と8ホール(二階建てパビリオン)は、東メイン・エントランスから最も近いデザインのホールで、sozo_comm JAPANは昨年に続き同じホール6に出展しました。
このブース・ロケーションは、見本市会場の中央通路からホール8(デザイン志向の強いメーカーが目白押しのホール)への動線上となるロケーションであるため、通路はいつも人波が切れることがありません。出展場所の6E48というブースは最高のプロモーション効果をもたらしました。

今年はこれまでの来場者数が毎年大幅更新のサローネとうって変わり、明らかにバイヤーの数は減っていました。それは初日の見本市乗り込みの地下鉄ラッシュでも分かります。さらにメゾン&オブジェでも見られたことですが、バイヤーが経費節減のためミラノ滞在日数を減らしているため、混み合うホールと空いているホールとの差が際立った年でした。特にミラノは、見本市会期中のホテル室料が通常料金の3~5倍になることで悪名高い街なので、出張経費を節約するには宿泊数を少なくするしかありません。そこで目当てのブースやホール以外のところまで足をのばして、未発掘のメーカーを渉猟する余裕などないというわけです。

その中でsozo_comm JAPANには初日に4千人以上、最初の3日間で1万数千人を超える来場者数がありました(用意した5000部のパンフレットが4日間でほとんどなくなってしまった誤算がありました)。

サローネの主催者であるCOSMITのPaola Magro女史(International Sales Manager)とAndrea Vaiani(Direttore Commerciale)氏が訪問してくれました。ベスト・ロケーションとも思われる場所の提供に謝辞を伝えると共に、可能ならば二面~三面開口、より広いスペースの提供をお願いします、と高田プロデューサーを始めとして一同あらためて要望をお伝えしました。これからも今年暮れのリロケーション決定まで、粘り強く交渉していこうと思います。
初日から3日間はバイヤーズ・デイとしてプレスとバイヤーのみ入場できる日で、ここが勝負所と、各社食事の時間も惜しんで接客対応していました。

リッツウエルは昨年はアンビエンテでの海外初出展に続いてということもあり、海外視察を兼ねて総勢7人という大部隊だったのですが、今年は矢野亙氏一人で対応。昼食をとる時間さえ全くない忙しさでした。昨年参加各社の中でも特に実績をあげているだけに、営業にも磨きがかかっています。スペースが狭いことを逆手にとって、椅子を中心にセットして、人気のセンターテーブルはシンボリックに背面のステージにあげる上手なレイアウトでした。

カリモクは昨年、永田良文氏デザインの家具シリーズ「Finezza」を出品し、その木とアルミの接合部分の巧みさがデザイナーや建築家と言った居並ぶプロフェッショナル達を驚かせました。今年は角度を変えて、京都の西陣作家によるジャパネスクなファブリックを用いた商品群など、オリジナリティを前面に打ち出す手法でした。様々な角度から海外市場をモニタリングする試みとうかがいました。

マルイチセーリングは90年代に発表して家具界にセンセーションを起こしたjipangの原型を発展させたニュー・バージョンを発表。サローネの中には数社、脚のないソファを出しているところもありましたが、明快に「床座」のコンセプトを打ち出すメーカーは他になく、アラブ文化の影響の残るスペインなど地中海諸国のバイヤーから強い引き合いがありました。地場の福井が誇る繊維産業の協力を得て製作した、紙とベルベットの混合素材によるクッションも好評でした。接客する小林一朗氏はドイツ留学が長かった方でドイツ語はできるが英語はイマイチとのことでしたが、営業はうわべの言葉ではなく商品を自ら徹底して理解していることと説得力であることを、身をもって示してくれました。

すでにフオリ・サローネ(サローネ期間中、ミラノ市内で発表されるイベントの総称)に過去4年間NEXT MARUNIとして参加してきたマルニ木工ですが、今回初めてサローネ見本市に出展しました。深澤直人氏の「HIROSHIMA」シリーズを中心として、日本の木工技術の高さをアピールした製品群に多くのプロフェッショナルから高い関心が寄せられただけでなく、バイヤーからの引き合いも初日1日だけで過去分を超えるほどの成果があったと山中洋氏は話してくれました。これまでの積み重ねが花開こうとしています。

イヨベ工芸は川上元美氏の新作を展示しました。高級オフィス家具の受注生産メーカーでもあると説明したところ、バイヤーの中でも建築家、インテリアデザイナーといったプリスクリプターに生産供給能力と品質の均一な保持能力の点でも信頼されたと五百部宗一氏は語っていました。五百部氏はアメリカ留学の後に、IT系のアメリカ企業に勤務していたこともある元々が国際ビジネスマン。その語学力と高い応接能力が、信頼感の醸成に役立っていると思います。
会期中は、多くの日本関係者の方々も応援を兼ねて訪問してくださいました。

2年前のCOSMITとの出展交渉に大変力を貸して下さった外務省イタリア公使の東博史氏は、その後も何かとsozo_commに気をかけて下さいます。昨年は甘利経産大臣をお迎えしての晩餐会を催してくださいましたが、今年もsozo_comm参加企業を公邸でおもてなしくださいました。

ミラノ・ファッションの中心スポット、ブレア通りのすぐ隣のVia Senatoにある瀟洒なマンション(真の意味での)に公邸はあります。今回も東公使に長年使える日本人コックの方の暖かい気持があふれるお料理の数々が卓を飾り、設営から接客の日々で疲れ切っている関係者の心身共に癒してくれました。

同様に経産省とCOSMITとの間をとりもって下さったのが、ミラノのJETROの方々です。高橋耕輔所長、青木朋人副所長には大変お世話になりました。またミラノ在住の伊藤節さんには、2年続けて面倒なパンフレットの制作をお願いし、印刷所とのやりとりにもご苦労いただきました。また経産省のコミッティ・メンバー内野、小保方氏も、多忙な政務の間をかいくぐって、何とか3日間都合してミラノまで視察に来て下さいました。
左から青木、内野、高橋、高田、伊藤、船曳、小保方の各氏

さらに、このsozo_commの事業立ち上げを経産省内で遂行した梶川文博氏が、留学先のUSAから私費旅行で訪ねてくださいました。すでにsozo_comm事業も担当官が4組も変わってきている中で、いつまでも関心をもっていただけるのは本当に感謝です。(左から2番目が梶川氏)

2008年度審査委員の田村昌紀センプレ社長です。他にも木田隆子エルデコ編集長、御手洗照子氏も立ち寄ってくださいました。いずれの審査委員も日本の陶磁器、漆器、和紙などの伝統産業を始めとして、日本で生まれた生活雑貨が世界に紹介されていくことを心から応援してくれています。

海外にも応援者がいます。Roberta BusnelliさんはIQD Inside Quality Designの編集長。

最後にこの6日間、受付で足を棒にしてがんばったチームです。
左から長谷川、辺見、船曳、渡辺、高橋、杉本さん
(船曳 鴻紅)

















