メゾン&オブジェが27日に閉幕し翌日はリヨンのSIRHA食品見本市へと移動しました。パリのSIALと隔年で開催されるこの見本市は、会場内で行われる「ポール・ボギューズ料理コンクール」で世界的に有名です。

全世界から20カ国ばかりが参加してチームで競い合うのですが、前回は菓子部門(クープデュモンド・パティスリー)で日本チーム10年ぶりに優勝しました。 ギャラリー・ラファイエットに青木さんの菓子コーナーがあるように、日本の菓子職人は世界の一流レベルなのです(残念ながら今年は4位)。
メインのフランス料理では前回ヒラマツの長谷川シェフが参加し、日本人初の6位入賞しシード権を獲得しています(今年は残念ながら1位をノルウェーがとって8位でした)。


辻調理師学校がリヨン郊外にフランス校をもっていることもあって、日本の応援も地元フランスに負けていません。少し残念なのは、日本の料理グループが用いる食器に斬新さがないこと。プレゼンテーションも評価の一つに入ると思われるだけに、今後日本の食器業界が盛り立ててくれると良いなあと思っています。

前々回から、丹青社とエス・ビー・エイ社がJAPANブースを出展させています。日本酒組合やパリで日本食材を扱う企業、冷凍寿司の機械メーカー、鯛焼きメーカーなど、年々日本のプレゼンスは強まっています。8~9年前まではホシザキかキッコーマンを輸入する欧州エージェントブースがあったぐらいなので、隔世の感があります。

sozo_commに参加する有田のキハラの松本さんとまるぶんの篠原さんが、世界の洋食業界における陶磁器食器のビジネスを視察にリヨンを訪れ、この方面でも広い人脈をもつ佐藤大輔さんに案内していただきました。

洋食器と言えば、まずフランスのリモージュ。しかしイギリスのウエッジウッドが会社更生に入ったように世界の高級陶磁器業界には冷たい風が吹き荒れ、リモージュでさえ例外ではありえません。そのリモージュの雄ベルナルドは、90年代から途絶えようとしている東欧の古窯を再興させたりしてがんばっていただけに、今年はどうかなと不安でしたが、写真にある新作は「見事!」の一言。右は、インテリア・デザイナーとしてフランスで活躍するシルヴァン・ドゥビュイッソンの新作カップで手かけの部分がユニークです。

新作のこの皿は、見た目には水滴が皿に散っているような印象を受けます。わずかな窪みを皿に無数に作ってその部分だけを硝子コーティングしているようでした。また機能的にも床に落としても割れないほど、底の部分を補強してあります。24日から東京で始まるホテレス・ショーにもベルナルドは出ますので、そこで発表されていると思います。

一方、世界一強になりつつある感のあるドイツのヴィルロイ&ボッホは、さすがに革新的な意匠です。まさに建築デザインがテーブルウエアに入り込んだかのように、立体的に皿を重ねてサービスする新趣向でした。これからこの亜流が増えてくるでしょう。

チュニジアなどのアフリカ、中近東に陶磁器メーカーが移っています。最大の理由はエネルギーと船の積み出し港が整っていることだと思いますが、桁違いに大量生産してくるわけですから日本の陶磁器などたまったものではありません。UAEの「官製」窯業メーカーが大きくブース出展していました。

今回リヨンを訪ねたもう一つの理由は、物流の拠点としての倉庫の視察のためでした。フランス第二の都市、リヨンはヨーロッパの中心部に位置して、ドイツ、スイス、イタリアと国境を接するヨーロッパ物流網の要衝なのです。物流コストはヨーロッパで最も安いとされ、日本の製造メーカーもかなりの数集積しています。写真はヤマハの物流などを請け負うNYKの倉庫で、巨大であるばかりでなく、わずかの人数で処理できるようオートメ化が徹底しています。

こちらはイギリスの投資グループが開発した倉庫団地。中にはオフィス付きの倉庫家屋や、そのまま卸しや小売のショップが入れる倉庫もありました。開発が終わり、これから売り出しというところで世界大不況。大変だろうと思います。

最後に、キハラさん、まるぶんさんと泊まったホテルで記念写真。このホテルは世界文化遺産となるリヨン旧市街にある修道院を改築したクール・デ・ロージュというホテルで、料理も大変おいしく、実はボギューズ料理コンクールに優勝したノルウエー・チームもここに泊まっていました。お奨めです。
(船曳 鴻紅)