東京の方でしたら、毎年10月末から1週間開催されるデザインウイークは、多くのイベント招待状が送られてきてどこかにはお出かけになると思います。1980年代後半~90年代前半のカッシーナ、アルフレックスが中心となったデザイナーズ・サタデイ、それが学生が前面に出るようになった東京デザイナーズ・ウイーク(TDW)、イデーの黒崎輝男さんが東京を世界の桧舞台に乗せたデザイナーズ・ブロック、骨董通りを中心としたセレクト・ショップのデザイン・タイド、TDWが誘致したイギリスの100%デザイン、そして今年から新たに加わった東京ミッドタウンのデザイン・タッチと、わずかこの10数年の移り変わりは、昔から見てきたものにとっては少々食傷するような状況となってきました。私も定点観測的に1日だけ都心部を廻ってきました。ご紹介するのはsozo_commに選定された企業やプロデューサーに関係するところです。

まずここ4年ほど神宮絵画館前で開催されているTDWです。

100%に入ってすぐのベストロケーションに陣取りしていたのは、クルツの島村卓実さん。ここでは紙製品のディレクションをおこなっていました。いわゆる紙縒り(こより)を使ってバッグやステイショナリーを作ってしまうのです。ブランド名はcuiora、「清らか」に通じるイメージだそうで、まさに今年のメゾン・エ・オブジェのテーマ「癒し」に共通します。

中ほどにマルニ木工がHA・RUとコラボレーションしたブースを出していました。ネクスト・マルニの家具のテーブル・トップや座面に超簡単に張り替えをできるシートをのせています。これはいかにも、軽薄短小(短期間でリモデル)、POPなグラフィック、素材革命の日本からの発信、ということで、今後大いに注目を集めると思いました。

100%で最も人が集まっていると感じたのは、富士通のコンセプト・ワークのブースでした。インダストリアル・デザイナーの村田智明さんがプロジェクトリーダーとなって開催してきたワークショップの発表展示です。参加学生(6大学他)たちが、御題に対して真面目に取り組んだ発想豊かな発表が、多くのビジターの関心を呼んでいました。

六本木のミッドタウンでは、有名プロダクトデザイナーの有名作品がオークションにかけられました。参加しなかったので、本当に落札されたのかは知ることはできませんでしたが。写真で右側の上から2番目のグレーのラブ・ソファは、sozo_commサローネ展のパンフ・デザインを引き受けてくださった伊藤節&志信さんのものです。中央は倉俣史朗さんのHow High the Moon。

このデザイン・ウイークのための展示ではありませんが、ミッドタウン・タワー5階にあるデザイン・ハブではJIDPOによる2008年度グッド・デザイン賞展が開催されていました。展示製品のレベルの高さは当然のことですが、いつもながらここの展示ディスプレイには感心させられます。分かり易い、見やすい、コンセプトが一気通貫しているのです。

同じくミッドタウン・ホールで開催されたデザイン・タイド展。以前は参加ショップの店先を借りての展示だったのですが、それでは出展者(デザイン・タイドで発表する若者達)にとってメリットが薄いと言うことで、この数年はこのようにミニ見本市形式になってきました。

その中に、sozo_commにも選ばれた100%が参加していました。sozo_commに選定される企業は「海外市場で十分に競争力があること」「海外市場で売る体制が整っていること」が前提ですが、その意味では100%はその将来性に期待がかけられての抜擢となりました。すでに十分市場性のある製品のすべてを開発するのは、営業の兄と二人三脚の写真の坪井(弟)さんです。

これから第一歩の100%に対して、MOMAを始めとする世界のセレクトショップに製品が並ぶのはアッシュ・コンセプト。デザイン・タイドに参加して今年は骨董通りのセンプレ・アネックスで発表を行いました。アッシュ・コンセプト及びデザイナーとのコラボを前面に出す+d、それらを統帥する名児耶秀美さんは、あくまで謙遜を美徳とする不思議な方です。パーソナリティが「癒し」そのものといった感じの名児耶さんが、「癒しのオブジェ」として一押しだったのがこのkusa。

骨董通りを青山通りに出て表参道手前に今年4月オープンした、中小企業基盤整備機構のRin。10月末からJAPANブランドの特別展が3階で行われています。会場構成は建築家の青木淳氏、キュレーションはスタイリストの長山智美さんということですが、感想は・・・無言・・・です。

最後に、これらの華やかなイベント群と一線を画したかのように西五反田のオフィス街の中で開催されたデザイン展をご紹介します。こんなギャラリーがあることを、同じ五反田仲間でありながら今まで知らなかったのですが、芸大建築学科を卒業した方達がそれぞれ社長を務めるデザイン会社がテナントとして入るオフィスビルの1階に、二十数人の中堅(と言っても30代前半まで)プロダクトデザイナーが寄り集まって発表展示を行っていました。ミラノ・サローネのサテリテ展で金賞をとったりする常連組も参加しています。デザインとは元々アナーキーなものだろうと思っている私としては、組織的、体制的でないこんな活動の仕方はかえって好ましく思えるのですが。
(船曳 鴻紅)