1958年にブリュッセルで世界万国博覧会EXPOが開かれてから50年を記念して、デザイン月間を催しているというブリュッセルに行ってきました。ご存知のように、1993年に発足した欧州連合は、行政執行機関(Commission of the European Communities)の本部を、ベルギーのブリュッセル市内に分散して持っています。なぜ、EUの機関がブリュッセルに集中したのか---それは①大国でないこと②欧州各国からのアクセスが良いこと、という理由からのようです。欧州議会も、パリを始めとして周辺各国から集まりやすいリュクセンブール駅の至近の所にありました。
EUの官庁街
欧州議会ビル
そのEUに対して、日本はどのようなプレゼンスを持ちうるのか。この4月まで中小企業庁でJAPANブランド事業も担当されていた福本拓也さんは、今Japan Business Council in Europe(JBCE)の所長を務めておられます。そのオフィスを訪ねさせていただきました。福本さんにお話をうかがうと、JBCEの主たる業務は、欧州各国に散在する日本企業の子会社を連携させ、日系ではあるが欧州の企業としてEUの政策に様々に関与していくことだそうです。特にこれから環境技術分野での日本製造業の果たす役割は小さくないので、仕事の重要性は益々高くなることと思います。そう言えばフランスのリヨンで12月に開催されるPOLLUTEC(環境技術見本市)でも、日仏交流150周年ということもあり日本はメインの招待国になっていました。
JCBE http://www.jbce.org/
ところで肝心のデザイン月間の方は、と言いますと、こちらはいささか拍子外れ。数十のデザイン、アート・ギャラリーやデザイン・ホテルなどがロンドンや東京のようにネットワークを張って、共通の販促物やサインを用意しているのですが、活気が今一つでした。常々デザインとはアナーキーなもので、制度的に仕組まれるものではないと思っているので、形ばかりのデザイン月間を作ってもなあ、と思ってしまいました。
アーキグラム設計のブティックホテル 改装中の教会
ブティックホテル(ホワイトホテル)のインテリア
ブリュッセル市内のアート・ギャラリー
ブリュッセルはEU官僚が集まる街だからでしょうか、上のようなアート・ギャラリーが結構数多くありました。日本でこのようなアート・ギャラリーがまだそんなに目立たないのは、文化度が低いからか、それともアート・バブルから距離を置いているからなのか。旅行中に、ダミアン・ハーストが自らの作品をギャラリーを通さずに直接オークションする「画期的な」試みを始めるという記事を読みました。最近の223作品を自分で、サザビーを通じて総額200億円ほどで売り出すというのです。このところの欧米でのコンテンポラリー・アート投資の正否を占う一件になるのではないかと密かに思っています。
Grand Place(大広場)
移動舞台
やはり観光客を含めて多くの人々が集うのは、旧市街の中心にあるグラン・プラスでした。世界で最も美しい広場のひとつと見なされて、1998年にユネスコの世界遺産にも登録されています。週末であったせいか、広場では市民演奏会が催行されていました。興味深かったのは演奏者達が乗っているステージ。簡単に広場から広場へ移動できるよう車輪がついていたのは、いかに市民が音楽を日常的に楽しんでいるかを表しています。
ワッフル屋
チョコレート屋(苺の串刺しチョコかけ) グラン・プラスの周辺は何軒あるのかも想像つかないほど飲食の店にあふれています。ブリュッセルは仏料理でミシュランの星の数を誇るほど、食の街。福本さんに聞いたところによれば、世界でチョコレート、ワッフル、ビールが有名だけれど、実はフライド・ポテトもベルギーが発祥の地とのこと。アメリカでフレンチ・フライと呼ばれているのはベルギー人にとって不満の種だそうです。ともかくリーズナブルな値段で飲と食を楽しもうと思えば、ベルギーははずせません。
(船曳 鴻紅)