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2008年08月 アーカイブ

2008年08月25日

sozo_comm審査委員1 大山秀夫さん

2008年度sozo_comm事業の一次選考が終わり、いよいよ9月には二次選考が行われます。今年も7人の選考委員によって、 どんな視点で選考するのか、応募された方や関係者だけでなく、海外市場を視野に入れている方々にとって、興味深いのではないかと思います。そこでコミッティから審査に関わる高田プロデューサー、私船曳以外の、5人の審査委員の方々にインタビューをさせていただきました。

まずご紹介しますのは、東急ハンズの「営業企画、商品開発、MD企画、店舗サポート部を担当される大山秀夫常務です。大山さんは東急ハンズ設立の3年目に入社し、1984年にはハンズ大賞とハンズメッセを立ち上げ、その後全国各所の東急ハンズ店長を歴任されてきました。ところで東急ハンズの最大の強みは、各売り場での販売担当者の商品発掘能力にあると言われています。大山さんはそんな現場の経験を積みながら、東急ハンズのプライベートブランド(PB)も立ち上げ、商品開発部の指揮もとってこられました。

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上の写真は大山秀夫さんと、大山さんの薫陶を受け、新たな商品開発の展開と管理を任されているMD推進部の野崎潤さんです。今や東急ハンズの取り扱いSku(小売業でいう商品の最小管理単位)は100万にも及んでいます。また仕入れの取引先は10,120社、年間860億の仕入れをすると聞きます。日用雑貨で、この東急ハンズの棚に並んでいないものはないと思えるほど多種多様な商品を扱われているので、大山さんには、東急ハンズの取引経験をバックに、sozo_commの審査で大きな力となっていただけると思います。

野崎潤さんとは以前、福井県今立町で開催された『いまだてクラフト展』の審査委員を何年もご一緒したことがあります。お祖父さんの代から渋谷宇田川町(東急ハンズ1号店があるところ)育ちというチャキチャキの江戸っ子で、またお祖父さん譲りの骨董と言うよりは工芸クラフト趣味があって、実によく伝統工芸の現場をご存知でした。こんなところが、「東急ハンズ」がいわゆるライフストア型店舗におけるカリスマ・バイヤーのパイオニアと言われる所以なのでしょう。

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ところで今立町は平成の大合併で今は福井県越前市となりましたが、古くから和紙・織物・漆器などの伝統工芸が根付いている土地です。野崎潤さんと知り合った『いまだてクラフト展』は、職人達が中心の草の根的に始まったクラフト展でした。全国公募のコンペによる工芸・クラフト展でありながら、純粋に民間のボランティアだけで行っている例は他にありません。上は、そんなメンバーが言い出しっぺの紙漉き職人上坂一夫さんと奥さん、娘さんを囲んで撮った写真です。展覧会も、2001年から地元で4回、東京で3回開催されたのですが、2004年の福井を襲った集中豪雨で、町内の大滝地区を始めとして地域が大きな損害を被ったこともあり、残念ながら現在は休止してしまいました。しかしこの活動は、製紙業、漆器業、生産者、問屋といった(従来は狭い町であるにも関わらず全く横の連携がなかった)業界をまたいで、地元の生産者を横串でさしてつなげる効果を今立にもたらしています。

(船曳 鴻紅)

2008年08月28日

sozo_comm審査委員2 田村昌紀さん

次にご紹介するのは、セレクトショップのパイオニアである「センプレ・デザイン」代表の田村昌紀(まさとし)さんです。インテリア・コーディネートを職業とされる方であればセンプレ、そして田村社長を知らない方はいらっしゃらないでしょう。センプレは、1997年東京デザインセンター1階に1号店を開いて以来、そのデザイン・クオリティに徹底的にこだわる姿勢が多くのファンを生み続けています。ヨーロッパの専門店のように、小さくても特徴のあるものを売ること。田村さんの「店を大きくする目的はまったく持たない、最初から日本で一番小さいお店を目指すことを目標にしていた」という信念が、センプレの店の端々に表出されています。

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1999年に南青山の骨董通りに開店したセンプレショップ


田村昌紀さんは、お母様が子ども服の「ファミリア」の創業者のお一人であるという、いわばデザイン界における「銀の匙」組です。芦屋から横浜元町、銀座と店舗展開を進め、戦後モダン・ライフスタイルの先端を切りひらいた「ファミリア」を、青少年時代の環境として育たれたのだと思います。大学に改組して程ない武蔵野美術大学で工業デザインを専攻された後、サーリネンやイームズを輩出しアメリカ・デザインの一時代を画したミシガンのクランブルックに留学されています。米国のデザイン事務所に勤務後、帰国、その後30年にわたる活躍は皆さんが知るところです。

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田村さんには、ヨーロッパのインテリア見本市でよくお目にかかります。私が東京デザインセンターをオープンさせる前後、見本市でお見かけしてはすぐに横について、これはと思う製品の来歴、製造、素材などなど、よく教えていただいたものです。欧州インテリア見本市についてこの方ほど知見の豊富な方はいないと思われる、そんな田村社長に、sozo_commのあるべき姿についてうかがいました。以下は、うかがった内容を私なりに解釈させていただいたものです。ぜひsozo_commだけでなく、海外見本市に出展をお考えの方には参考にしていただきたい内容だと思います。

■sozo_commはデザインコンペではなく、海外市場で売れるモノは何かという視点で審査するべきでしょう。

■海外市場で売るということは即ち海外市場での受け皿(流通)が作れるかどうかがポイントです。

■日本でも、インテリアライフスタイル展など全体のレベルが上がってきていると思いますが、逆に、日本の小売店ではこれらの商品の取り扱いが少なくなって来ています。理由は、小売店におけるリビング雑貨の売り上げの伸び悩みもあるし、小売店の仕入れ担当者の見る目の質的な向上が伴っていないということもあるのでしょう。

■例えば、インテリアライフスタイル展でのバイヤーの動きを見ていると商品をしっかり見てまわるという姿勢ではなく、取引先を訪ねまわるという姿勢になっており、これではいい商品を見分けることができないのではないかと思います。

■バイヤーとしてインテリアライフスタイル展の会期中毎日訪れましたが、残念なことに多くの出展者がブースで受注するという体制を整えていなく、受注するという営業マインドが感じられませんでした。----ブースでは挨拶をする程度で、展示会後にバイヤーなり取引先なりにカタログを持参して説明し、受注をとるといった営業姿勢が習慣的になっている。これでは展示会で本来するべきこと(受注)をせずに、展示後のフォローアップでカバーするという無駄な動きになっている。買い付け側にとってはわざわざ展示会に行くのに商売が成立しない上に、その後に営業されることで時間的にも大きな無駄に付き合わされることになる。

■欧米では展示会は買い付けの場であり、またバイヤーとメーカーが商品1点1点について会話をする過程でさらなる商品開発につながることもあり、そのようなプロセスが両者にとって貴重だという認識があります。

■モノが売れることに大切なのは、企業内に取引を継続して行える相手(対話をしていける相手)がいるかどうかが大事で、それが継続的な信頼関係につながります。たとえば、展示会で話した内容がその後の企業側の取り組みとしてどうなるのかも、信頼関係が築けるかどうかのお互いの判断材料になります。

■展示会には、代表者なり、担当責任者なり、権限のある人がいなくてはなりません。展示会の後でお答えしますといった「持ち帰ってからの話」にするのでは意味がない。バイヤーも展示会だからこそ来るわけで、そこで話がつかないようでは全くナンセンスと思われてしまいます。

(船曳 鴻紅)