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2007年06月 アーカイブ

2007年06月10日

タイのベストデザイナー1

先月末から立て続けに出張が重なりました。

sozo_comm事業説明会を中部経済産業局と近畿経済産業局で行った後、関空を利用してバンコックへと飛びました。タイの国立芸術大学であるシルパコーン大学が行う「タイのDesigner of the Year」選出に呼ばれたためです。2004年に始まったこの賞の最初の受賞者はMr Suwan Kongkhunthien(Kuhn Suwan*とお呼びします)。すでに日本でもウオーターヒヤシンスやリパオ素材のソファで知られた方です。写真はKuhn Suwanを彼の工場に訪ねたものですが、かたわら右の椅子は国王の別荘に納品されるばかりのものです。 *タイでは大家族制のため同じファミリーネームの人が数十人に及ぶので、ファーストネームでお呼びして失礼ではありません。敬称はKuhnをつけるので、スワンさんはKuhn Suwanとなります。

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今やロイヤル・ファミリーの御用達のようにもなったKuhn Suwanの家具「YOTHAKA」も、彼に聞くとつい5年前まではタイではほとんど売れていなかったそうです。1989年にデザイナーからクオリティ追求の家具メーカーとなったものの、その頃のタイでは重厚な木製家具がリッチなもので、新鮮な意匠や素材が評価されたのは専ら欧州においてだったそうです。しかし徐々にその名声が広がるにつれ、ついにタイでもデザイン家具分野ではトップの企業となりました。Kuhn Suwanは「最初からタイで勝負してもダメだと思い、それでヨーロッパでまず仕掛けて、そこで得た評価を世界にもタイにも及ぼそうと計算しました」と言います。「ブーメラン効果」が見事に奏功したのです。 それを可能にさせたのは、単にYOTHAKAの洗練されたフォルムにあるだけではありません。素材にウオーターヒヤシンスを使い、高級素材であるリパオを使い、さらにはビニール・コードを使う、といったチャレンジングなデザインがヨーロッパの目利きのユーザー達にアピールしたのだと思います。写真はこの春の試作品で、リパオとビニール素材をミックスして織り込む、新しいアイディアによるものでした。

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Kuhn Suwanが、初代Designer of the Yearに選ばれた理由はそれだけではありませんでした。彼の工場では、周囲の村からいつも十数人の訓練生を、社員とあまり変わらぬ給与で受け入れています。最低3ヶ月、先輩社員からの指導を受けて家具製作の初歩を学び、Suwan氏やその他の工場に勤めることができます。彼自身、経営よりもモノづくりそのものが好きなのだと言い、バンコックのオフィスは7人程度で回して、ほとんどの時間を工場で過ごしているようでした。そんな人柄は、彼の柔和な顔と優しい人当たりによく表れています。

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(船曳 鴻紅)

2007年06月11日

タイのベスト・デザイナー2

2007年のDesigner of the YearはMr Eggarat Wongcharitが受賞しました。

若い頃イタリアで学んできた、経験と実績も豊かなタイを代表するデザイナーの一人です。写真では、Kuhn Suwanの右の方がKuhn Eggarat。私の左には、「AYODHYA」のKuhn Pawineeがいます。彼女は2003年に日本ファッション協会の日本クリエイション大賞を受賞しているので、ご記憶の方もいるかもしれません。ロイヤル・ファミリーに列なる人で、運河の邪魔者であったウオーターヒヤシンスを家具や雑貨に有効利用するリサーチを初めて行った人です。

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Kuhn Eggaratの受賞作品です。評価のポイントは、タイの伝統技術である仏像制作の鍛造技術を用いているところ。やはりタイでも、デザイナーが社会とどう向き合っているかが問われるのですね。

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(船曳 鴻紅)

2007年06月14日

パイナップル・ペーパーの椅子

「YOTHAKA」の新製品はパイナップル・ペーパーの椅子。今年3月のバンコック家具見本市で初めて発表されたもので、私も3脚スツールを購入しています。今回その製造工程をYOTHAKAの工場で見ることができました。日本ではまだ発売されていないようですが、今や生産が追いつかないほどヨーロッパからの注文が入っているそうです。

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そのデザインをしたのが、このYENNDESIGNというグループ名の若者達です。その一人にYOTHAKAの工場で会った時、来週東京に行きますと伝えられました。インテリアライフスタイル展で若手デザイナーが自ら作品を発表する「neON」に招待されていたのです。neONブースの中には、パイナップル・ペーパーの椅子以外にも、伸び縮みするコードを縦桟のようにあしらったシェルフなど、アイディアあふれる作品が展示されていました。そして幸運にも、インテリアライフスタイル展のヤングデザイナー賞に彼らが選ばれて、手元には賞のオーナメントが輝いています。

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(船曳 鴻紅)

2007年06月16日

インテリアライフスタイル展

先週の6日から8日の間、東京お台場のビッグサイトでインテリアライフスタイル展が開かれました。レピスの高田公平氏が総合プロデューサーになってから5年、年々評価が上がり、出展を希望してもウエイティングしなけれならない人気展示会となっています。今回ばったり会場で出会った建築家の宮澤裕夫さんは小さい頃から展示会フリークだったそうで、あらゆる種類のフェアを見ていてこちらが教えを乞うほどなのですが、このライフスタイル展は面白くて午前中からずうっと回っていても飽きなかったと言っていました。

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今年は西棟のフォワイエに「Design Click」という招待デザイナーの華やかな空間が拡がりました。岩倉榮利、富田一彦、寺田尚樹、nendo、トネリコ、メタフィス、 WA-Qu、SMOKERS(正体不明のスタンドはヘビー・スモーカーであるプロデューサー2人の特別出展)の8組が、それぞれの趣向でディスプレイを展開し、久しぶりに大型のインテリアデザインの競合を見ることができました。岩倉さんと富田さんの、珍しいスナップショットです。

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インテリアライフスタイル展の人気の理由の一つは、それが「実商」の場であることです。もともと欧米では、メーカーとバイヤーが1年に1度集まるフェアで1年分のビジネスをまとめてきたわけですが、問屋機能が発達した日本ではその必要性は薄く、業界内の「お祭り」といった格好になってきています。しかしバブルの頃ならいざ知らず、日々の経営が厳しさを増す今日ではそういった余裕がある企業の数も少なくなり、一部の例外を除いてどのフェアも出展社の確保が難しくなりました。そんな中で、従来の業界の枠を超えた「ライフスタイル」という切り口で流通の新しい側面をとらえて、メーカーとバイヤーをもう一度結びつけ直す機能を前面に出したインテリアライフスタイル展の成功は、日本のインテリアの未来を多少でも明るくする兆しと言ってもよいと思います。 下の写真は、高知の杉を使ったモナッカシリーズを展開しているクルツの島村卓実さんが、日本デザインコンサルタント協会(JDCA)が選奨するデザインマネージメント賞を受賞したところです。杉の家具には飛騨産業の「HIDA」もありますし、また竹の家具も今回のインテリアライフスタイル展に何社かが出してきていました。これら杉や竹は、日本発信の新しい家具素材として海外のデザイナーが注目し始めています。ぜひsozo_commにも、このような世界にアピールできる商材が応募してくださることを期待しています。

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(船曳 鴻紅)

2007年06月20日

商環境設計家協会JCDデザインアワード

(社)日本商環境設計家協会(JCD)は、ショップやレストランといった商環境を中心とする空間デザイナーの協会です。

日本のインテリアデザインでは、彼らがその時代、時代の空間デザインの魅力と方向性を決定してきたと言っても過言ではありません。 そのJCDが若手にエールを贈るために設けているデザインアワードの公開審査が、昨日東京デザインセンターで行われました。審査委員長:近藤康夫氏、審査員:片山正通氏、面出薫氏ほか、支えるスタッフに飯島直樹氏、小泉誠氏、橋本夕起夫氏、武石正宣氏といった、今のインテリアデザイン・シーンを飾る豪華なキャスティングです。

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グランプリは、もと青木淳さんの事務所にいらっしゃった中村竜治さんが受賞されました。斬新な眼鏡ショップの設計で、単に卓越した意匠力だけでなく、眼鏡を「売る」機能(鏡がトリック・アートのように壁に仕込まれている)がきちんと設定されている点が評価されたようです。 こんなエスプリが効いたデザインが今の若手からどんどんあふれ出てきていて、日本の店舗デザインは今や世界から最も注目視される存在になっています。しかし極東日本にまで見に来ることができる人はそんなに多くありません。来年2月のアンビエンテでそんな「日本」も紹介できたらいいですね。

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(船曳 鴻紅)

2007年06月28日

山村真一「産地がよみがえるとき」

今週月曜から土曜まで「JAPANブランド展」が東京デザインセンターで開催されています。今年度も含めJAPANブランド事業に採択された108事業の内すでに製品化されている30事業が一堂に会していますが、その中で私が特に推奨したいのは、次の有松鳴海絞りです。理由は、日本の伝統技術と新技術であるナノテクノロジーとのみごとな融合だから。 

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光触媒の絞り 有松鳴海絞りは、ちょっと年齢のいった女性だったら知っている、最高の浴衣地です。その伝統の絞りは染めの技法なので、糸を抜いたあと湯のしをしてシワをのばしますが、それをあえてシワをのばさず絞りの凹凸を形状記憶させる「新しい絞り」が産地にまず誕生していました。そこに2005年のJAPANブランド事業で、山村真一さんがこの伝統技術にナノテクノロジーを加えました。絞りに二酸化チタンをスパッタリングさせて、光があたるとシックハウスの原因となるホルムアルデヒドを除去し、タバコやペットの臭いを消す機能を加えたのです。水中の汚染物質も分解し、抗菌、防汚の機能もあります。

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その山村さんが会期中のJAPANブランド・セミナーの講師となりました。東京デザインセンター8階セミナールームで、「産地がよみがえるとき」という講義です。デザインを浮ついた表層のものではなく、産業の基盤となるべきものだと考える山村さんの講義内容は、今後の日本のものづくりを考えるときにとても示唆に富む内容だったと思います。 最後にまとめとして、4つのことを指摘されました。 1)思い切って他産地とのコラボレーションに挑戦していく事が大事。 2)産地の中にロング・プログラムを持つ視点が必要。 3)マーケティングとは、新しい社会の価値観を先読みして、その先取りをした商品の流通の仕組みを作ること。 4)産地で即効的な特効薬を求めてタレントデザイナーを起用するのは慎重にした方がよい。 「国や県が事業に補助金を出すと数千万にはなる。当然ながら見返りとして1~2億の売上、場合によっては10億以上の産業に育つことを期待する。産業として成り立たないなら、作品なんですね、これは。産業化するというのは、最低限10億ぐらいの売上に近づく仕組みを作る。そのためにどのようにしていくか。産地規模が100億とするとその1割ぐらいは新しいことをきちんと企ててやっていかなければいけない。それにはいわゆる応用的なデザインだけでは将来性が少ない、素材開発から入れば競争力ももち、長期的に産業として大きく育つ可能性があると思います。」

(船曳 鴻紅)

2007年06月30日

JAPANブランドTDC展

6月25日から30日までの5日間、東京デザインセンターにて第2回目のJAPANブランド展が開催されました。2月のOZONE展が一般の方に広く「JAPANブランド」事業を知っていただく目的だったのに対して、TDCではビジネスのマッチングが目的です。来場者数は1252名、その内22%が流通の方、23%がデザイン関係者でしたので、会場内もつっこんだ質問やアドバイス、それに対する事業者からの熱心な説明が飛び交っていました。「JAPANブランド」は世界に通用する日本のものづくり支援事業です。sozo_commにもぜひ参加していただきたい事業や製品が並びました。

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昨年から「JAPANブランド」にも、地域単位の食品開発事業が増えてきたようです。展示会の一角には試食コーナーが設けられ、松江の和菓子や三重の干物はもちろん、能登のいしり(魚醤)も温野菜や豆腐などで味わいを試しました。

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(船曳 鴻紅)