2010年08月30日

コピー商品の問題

コピーがあふれる・・・
コピーの問題は中国だけではありません。アメリカはもちろん、欧州の国際見本市でも、毎年新奇なアイディアが持ち込まれるデザインのホールでは、斬新なデザイン商品であればなおさらのことコピー行為が後を絶ちません。デザインのサイクルが短い雑貨では、オリジナル側がいくら指摘しても1~2年で売り抜けられてしまうといういたちごっご。しかし昨日のフランクフルトのテンデンスでは強烈なコピーを見ました。何と、単に商品をコピーするだけでなく、ブースを丸ごとこコピーしているというもの。

贈答用にタオルをケーキのように見せて成功している、大阪のプレーリードッグという会社をご存知でしょうか。上がプレーリードッグのブース。下がプティ・フールというドイツか中国かよく分からない会社のブース。現地で訴えたとしても、訴訟費用や時間をかけている間に消えてしまう泡沫的な会社が多いようです。

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同じホールで、今度はアッシュコンセプトの「アニマル・ラバーバンド」の廉価版大量コピーを見ました。MOMAで扱われて以来世界的なヒット商品となっているものですが、数年前からアメリカでコピーが横行(もちろん生産は中国)。それが店頭に並んだブースを見たので、これはコピーではないかと問いかけたところ、「確かにオリジナルはアメリカのものだが」という回答。アメリカのコピー(?)をまねたコピー??意地でオリジナルは日本製品と強調して、プレスだから写真を撮りたいと申し出たところ拒否され、写真を載せることはできませんでした。

その他、昨年来たまたま見つけたコピー商品をご紹介します。

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深澤直人デザインによるバッグ(±0プラスマイナスゼロ)のアイディアをコピーした商品

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アッシュコンセプトのピクニカ(ウサギ型の携帯用バック)をテディベアにしただけのコピー

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4社競合の大型フロア・クッション
これなどは、わずか数十メートル四方の中に4社が同じようなフロア・クッションを展開。勿論オリジナルは左上のFATBOY(サインの下にthe originalと書いてある)で、その他はコピー。中には多少差別化させて100% RECYCLEというものもありましたが。


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大量生産品が多く、大規模流通のバイヤーがメインのフランクフルト・アンビエンテは、厳しくコピー商品の排除を行っています。毎年このようなコーナーが特設され、アンビエンテで摘発されたコピー商品が並びます。

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いずれもオリジナルと外装は全くと言って良いほど変わりません。追及が比較的簡単な商標はテキトーに変えています。

見本市会場内にアインチ・コピーイングというスローガンが貼られているアンビエンテやテンデンス。しかしそのデスクに行っても、対応はコピー対策という小冊子をくれるだけで(自分たちは弁護士ではないのでと言って)、何か動いてくれるわけではありません。結局バイヤーの意識の問題に尽きるとも思いました。ただフランスですと、フランス製品(例えばヴュトン)のコピーを売っている店は小売商自身が多額の罰金を払わなければならないと聞きました。日本もせめて同じような規制策をとってはどうでしょうか。


本場中国では・・・
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北京市中心部にある秀水ビル

昨年パリに行く前に寄った北京では、北京オリンピックを前にしてコピー闇市が一掃されたと聞いていました。確かに広大な闇市場は中心部からは消えていて(少し郊外に出るといくつも大規模に拡がるとも聞く)、このビル一つに集約されたようです。

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地下1階地上5階

1階から上は安価な衣料品やアクセサリー、寝具類などで、特に問題になることはないのですが、地下に行くと昔ながらのコピー商品が跋扈。

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サムソナイトなど有名銘柄のバッグやカバンのオンパレード

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ポロやディーゼル、ドルチェ・アンド・ガッバーナが人気商品

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両側から店員が迫る地下の通路を行くと、次々にアルバムをひろげて「ここだけじゃない、もっと沢山あるところに連れて行くよ」と声をかけてくる。アルバムを写真にとろうとしたら、引っ込められてしまいました。

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その通路に立つ売り子達は大半が十代か二十代の若い女性達。女性の方が客に警戒感をもたせないためか、しかし私の腕をつかんで放さない、ふりほどくのが大変だったので、若い女性ほど怖いもの知らずとも思います。

最近メディアで、中国政府もコピー商品摘発を始めたと報道されています。しかし商標をとろうと思うと、分類が膨大にあって、1分類ずつ登録していくと何百万円以上という費用がかかると聞きました。見事に中国政府自身が「コピー」を商売にしていると言えるのではないでしょうか。

(船曳 鴻紅)

2010年07月31日

中国のマンション開発

日本は、1905年日露戦争後に租借権が譲渡された大連を貿易都市として発展させるため、鉄道を始めとするインフラの整備を進めました。その名残は今でも大連のそこかしこに見られます。

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中山広場の周りには旧朝鮮銀行、ヤマトホテルなど7棟の日本人建築家による建物が残されている。

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戦前の日本人住宅が一部まだ解体されないで使用されています。近年大規模なマンション群が開発されるまでは、ガスなどの設備が整っているため市民にとっての高級優良住宅でした。

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昔なつかしい市電の風景

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上海ほどではなくとも大連も中国第三の港湾都市であり、都市圏人口は350万人にもなります。そのために市内のあらゆる所で、旧市街地を取り壊して新たな商業施設開発、住宅開発が進められており、高層住宅群が林立する様は中国経済の内需拡大の勢いを十分に感じさせるものでした。そんなマンション分譲の現状をお伝えします。

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span style="font-family: MS PMincho">大規模な郊外型高級住宅開発の一つ「明秀山荘」。よく手入れされた庭園には噴水やテラス式の川の流れも配されていて、高層マンションが建ち並ぶ様は日本のマンション開発の数倍の規模はあります。このような分譲開発が大連都市圏にこの数年の間にいくつも行われていて、現在のところ大変順調な売れ行きでした。

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このマンションを案内して下さったのはカー・レンタルで成功しつつある方で、分譲マンションを2戸買い、一つは自宅、もう一方は投資として購入し当分は賃貸にまわす予定です。家具付き賃貸用としてすでにインテリアはすべてセットされていました。床は大理石、照明もリビングやダイニングセットも、豪華なヨーロピアン・テイストです。

次に視察したのは大連市の都心型高級マンション開発です。ここは松下電工が分譲住戸の一部を内装施工で引き受けていました。1階のフォワイエやラウンジ部分は広く豪華で、高級ホテル並みの内装仕様にしてあります。

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これまで中国のマンション分譲はスケルトンで売られてきました。自分の居住用であれ、投資として購入しとりあえず賃貸にまわすものでも、購入者は市内の家具城(インテリア・マート)でインテリア資材を調達して内装工事を仕上げます。その意味ではインテリアは千差万別の個性的な仕様となっておかしくないのですが、実際は中国人にとってのゴージャス・イメージの最大公約数ヨーロピアン(アメリカン)クラシックでまとまっています。 

ところで今、中国当局はスケルトン売りに代わって一次内装(床壁工事、キッチン、バスルーム、エアコン工事済み)を推し進めています。個々の住戸が勝手に工事をしているといつまでも工事が続いて周囲に迷惑をかけたり、廃棄物処理に問題が生じたり、健康障害を起こす内装材が使われていたりするからで、今後内装付きでないと分譲できない可能性も出てきました。その時に床、壁のテイストが多少ナチュラル志向にならないと、(地味めな)日本家具には不利な状況が続きそうです。 

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<このマンションは新方式の内装済み分譲なのですが、インテリアデザインは一言で言えば「アメリカン・クラシック」。ジョージ・ブッシュの後援者達が好みそうなテイストで、中国でも結構ハリウッド映画や大河ドラマ「ダラス」などが観られているのでしょうか。しかし中国の施工業者が受け持った住戸では、高すぎるキッチン・テーブル、高くてまたぎにくい浴槽のへりなど、エッと思う造りが随所に見受けられました。それでも売れているのは、購入者が投資用にと3戸も4戸も買っていくおかげで、正真正銘のバブル状態と言えます。

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見本市が開かれた大連EXPOプラザの地階にある家具城です。ここは広州から入ってきた家具がメインでした。

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<市の中心部ににある 「大世界」家具城。入口入ってすぐ正面にはコーラー他世界の衛生機器が陳列され、上階に家具のショールームが並んでいます。これまではマンションはスケルトン分譲だったので、一般客対象に設備系のインテリア・マートが充実しています。ここの家具は大多数がゴージャス・クラシック系。

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「大世界」の3階に野田産業のショールームがありました。ゴージャス系を嫌うニッチな数パースセントの顧客層を狙う戦略をとっているそうです。野田社長によれば、「ひと頃シンプル・モダンでいっていたが、代理店の要望もあり今は日本的なイメージを前面に出している。 1995年に稼働開始した大連工場の生産高の半分も、今や中国国内と諸外国に売っている」そうです。そこでホットで有望に見える中国市場の印象を野田社長にうかがうと「市場は拡大しているが、それ以上のスピードで供給側が増えています。これからは益々厳しくなるでしょう」と冷静な分析をされていました。

「今回、準備にもあまり日数をかけない中でこれだけの視察ができたのは、ひとえにJETRO大連オフィスのおかげです。 大連JETROとしてのメイン産業分野は港湾とエネルギーのはずで、住宅開発・家具についてはほとんどご存知なかったのですが、1週間ほど前に浜野輸出促進部長を通じて問合せをしておいたところ、分譲マンション視察などをセットしていただけました。いわゆる西欧先進諸国でない国を訪問するときは、広く情報を得るために各国JETROオフィスを利用させていただいています。もちろんビジネスを進めるためには、それぞれの業界内部情報を十分に把握しておくことが必要でそこまでは到底できないのですが、とりあえずの手がかりを得るにはとても有効です。

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写真は高橋所長を始めとするJETRO大連の方々と、本部の浜野輸出促進部長、安藤展示部課長の皆さん

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ジェトロ岐阜の西本敬一所長の祖父は戦前満州で活躍した建築家大塚剛三だった。祖父の作品の一つ、戦前の「三越大連支店」を初めて訪れた西本氏。

(船曳 鴻紅)

大連家具見本市

6月10~13日まで中国の大連で家具と内装材の見本市が開催されましたが、そこに日本家具産業振興会が、JETROの補助も得て日本ブースを出展させました。高山から日進木工、シラカワ、柏木工、飛騨産業、その他カリモク、富士ファニチャー、モリシゲが参加しています。日本としてまとまって中国の見本市に出るのは今回が初めてです。

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写真は日本家具産業振興会の杉本隆雄顧問と。

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見本市開場前のセレモニーで中国家具協会の賈清文理事長が主賓挨拶。政治と経済が未分離の中国では、こういった公益法人の理事長もほとんど共産党幹部が占めています。賈理事長は在職年数も長いので、いずれ近いうちに幹部交代とも取りざたされているようです。

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今回の大連見本市出展団長でIDAFJI副会長の北村斉日進木工社長が、賈理事長に日本ブースを案内。理事長はしきりに日本の木工家具のクオリティの高さに感心していました。

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副団長の白川勝規シラカワ社長の出展方針は明解です。いずれ中国、ロシアへの輸出を本格化させるには、日本から直接輸出するより、いったん中国に中継地点を設けたい。それには大規模な港湾を抱え、木工業の下地がある大連をアセンブリー基地として考えられるかどうか試す価値があるということでした。

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 加藤信カリモク専務は、ちょうど開発を終えたばかりのニュー・ラインを発表しました。ロンドンで活躍されている澤山乃莉子氏ディレクションの「蓮夕」コレクションです。

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 もともと大連家具見本市は、木材の集積地ということもあり、家具というよりは建築資材の見本市という性格があります。今回のJAPANブースの出展は、見本市としては「鶴」が舞い込んだような華やかさをもたらしてくれましたが、IDAFIJとして本格的な中国市場開拓のためにはやはり広州、上海といった大見本市にでることも視野に入れた方が良いと思われました。

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すでに90年代半ばから大連に自社工場を設け生産しているのは野田産業です。工場は大規模な粉塵除去装置も設置され、日本国内の家具メーカーの工場と比べても遜色ない近代的な工場でした。その野田産業は、地元である大連家具見本市には小規模なブースしか出展せず、やはり勝負は広州と上海でしているとのことでした。

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今回大連に出展した各家具メーカーのスタッフの方々と、大雨だったので滞在するホテルのレストランで会食。安くてボリュームがあり、そこそこのお味は有り難い。大連は親日的な街で英語よりも日本語の方が通じて、日本人にとっては居心地の良い街です。

(船曳 鴻紅)

2010年07月30日

独 照明見本市 Light & Building

フランクフルトで隔年で開催される照明見本市Light & Buildingは、今やイタリアで開催されるユーロ・ルーチェをしのぐヨーロッパで最大の照明見本市になっています。最大の理由は、今の時代の照明は、照明器具を楽しむと言うよりは建築空間そのものを楽しむようになってきたためです。20年前はまだ目新しかったマンションの建築照明(あらかじめ仕込まれている照明)も、今はリビングの間接照明など当たり前に使われるようになりました。そのLight & Buildingが今年4月に開催されたレポートをします。

街の中央にメッセ会場があるフランクフルトはドイツというか全欧の金融のメッカです。人口は約70万人程度でドイツ第5の都市ですが、ドイツ銀行とヨーロッパ銀行という超一流の金融機関本店があり、以前は「金儲けのみの街、 バンクフルト」と呼ばれるほど文化性があまり見られない都市でした。しかしフランクフルト市の社会党が1970年ミュンヘンの文化局長をしていたホフマンを招聘し、 彼が都市文化を高めることは経済効果をもたらすと文化政策を進めたことで、近年文化都市への変貌を大きくとげています。そういった背景のもとで、フランクフルト・メッセ(国際見本市を運営する市の第3セクター)と街は、単に外からの集客を図るコンベンション・シティという経済効果だけでなく、市民に広く文化的な豊かさをもたらすという福祉効果によって支え合っています。

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高層ビル群からマイン川をはさんで川沿いに、映画、建築、郵便、美術といった13の博物館・美術館が並びます。郵便博物館を除いて、他は昔からの豪邸を改装し利用していて、日本の自治体も学んでほしいところです。

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郵便博物館はミュンヘンオリンピックの競技場の設計をしたギュンター・ベーニッシュによるもので1990年竣工

そしてLight & Building会期中は、フランスのリヨンのように街中が一体となった光のイベントが開催されます。LUMINALEというこのイベントは、単に建物をライトアップするだけでなく、現代美術と一体となったインスタレーションが街中にあふれ、なかなか見応えのあるものです。

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改装中のビルを使った照明イベント (2004年)

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一般のビルをも会場とした、百数十の照明イベントが参加するルミナーレは、夜中まで各イベント会場を巡る無料巡回バスが用意されていて、市民が気軽に参加できるようになっています。

ところで今年で6回目となるLight & Buildingですが、今や照明に関しては、本家ハノバーの産業総合見本市をも凌駕しつつあるように思われます。日本のメーカーも徐々に数を増して、日本の先端技術を生かした企業群も十社ほど出ています。東芝、遠藤照明、スタンレーといったところです。いずれもLEDランプの開発で、環境技術というこれからのマーケットを捉えていこうとしています。

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中でも目をひいたのは三菱化学が照明家の内原智史さんに依頼した有機EL(OLED)の照明器具で、心地よいアンビエンテな光を追究するコンセプトは、NEDOが出展していたOLED事業と好対照をなしていました。NEDO事業はLEDに同じ機能で対抗しようとしているため、OLEDの課題である高コストは世界市場規模の量産体制がとれなければ解決できないという、鶏と玉子の関係にはまってしまっています。一方で三菱化学は、OLED材料を蒸着でなく塗布でいくことで解決を図っています。日本が世界に今のところまだ先行技術を誇れるOLEDに国を挙げて期待がかかっていますが、安定性などまだまだ解決すべきハードルは高く特にコストの問題が立ちはだかります。三菱化学のような柔軟な開発手法が望まれると思います。

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Light & Buildingで存在感を誇るのは、電機・家電メーカーで世界最大級のフィリップス。LED照明においても世界の覇者となろうとしている。 LED.jpg

無機LEDで各社が活発に開発を進めていたのが、色調のコントロール機能でした。店舗で商品特性に合わせた光を作り出すことや、大画面で効果を出すことなど、これからの照明の可能性を追求しています。

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人気ブースだったのは、LED球を配線なしで壁面や天井にピン止めし、好きなように楽しめるというシステム。インテリアデザイナーにとってうれしい製品です。

日本の伝統地場産業2社も出展しています。和傘の「日吉屋」と絞り染めの「スズサン」です。共に消え果てそうな日本の伝統技術を照明という新しい分野に持ち込んで、伝統産業の再生に挑戦しています。メイン・エントランス入って直ぐのホール1の、しかも入口付近にブースをかまえて、初日の朝から引きも切らないバイヤーの応対に追われていました。

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京都の老舗和傘屋の日吉屋は、3年前から和傘の骨組み技術を使ったランプシェードを開発。すでに海外でも人気商品となりつつあります。

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左はJETROの輸出促進エージェントの草野氏、右が日吉屋の西堀氏

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 スズサンはスイスの照明メーカーと契約を結び、そのブースに出展。絞りの布に酸化チタンの光触媒を施した画期的な照明と言えます。

(船曳 鴻紅)

2010年05月20日

2010年のサローネ・レポート

【サローネ見本市会場】

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今年で3回目のsozo_commサローネ出展です。昨年のサローネはリーマンショックによる世界不況の影響が、来場者数がサローネ始まって以来と言って良いほどの減少を見たことや、ポルトナウフラウ・グループが出展をやめたことなどに現れていました。しかし今年は意外なほど人並みが戻っていて、3日目からアイスランド火山の噴火によって航空便の欠航が相次いだにもかかわらず、来場者数は一昨年並みとなりました。 そこで世界各国の景気を実感したのは、景気が回復基調のアメリカから久しぶりにバイヤーが戻ってきていたり、また中国からはバイヤーだけでなく中国人プレスの姿が多く見かけられたりしたことです。

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(サローネ内のプレスルーム、中国系プレスが目立っている)シンガポールなどの華僑系ではなく、確実に中国本土のプレゼンスが増していると思いました。

 

【キッチン、バスルーム】

今年のサローネと併催されたのはユーロ・キッチン(隔年)ですが、その奥で開催されたFTK(Technology For the Kitchen)がキッチンの未来を提案。ワールプールからミーレまで欧米のキッチン家電がブースを競い合い、家電メーカーがインテリアをリードする時代が来たことを明快に語っていました。 

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ワールプールの明るい未来的なブース展示。ガーゲナウは対照的に、製品を分解して見せるハードな展示。

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サローネ・バーニョ(浴室)にはTOTOも初登場し、欧州にもウオッシュレット流行の兆しが見え始めています。

 

【sozo_comm】

日本家具産業振興会のブース(sozo_comm)は、3年連続出展した結果を大きく出すことができました。ブースは来客の波が途切れることなく、6日間で3万数千人のビジターを迎え入れたほどで、用意していたパンフレットも紙袋も、最終日にはすべてなくなったほどの盛況でした。

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左上からカリモク、ヤマカワラタン、マルニ木工、協力出展の杉原和紙とイグサモノ。 %E5%87%BA%E5%B1%95%E8%80%85%E3%81%A8.jpg

出展メーカーの皆さんと最終日に記念撮影。ご苦労様でした。

 

【サテリテ】

サテリテ(新人デザイナー達が発表するホール)で今年話題となったのが、COSMITが新設したデザイン・アワードで、その第一回金賞に選ばれたのは、センプレの田村昌紀社長の長女、田村奈穂氏でした。葉をモチーフにしたシリコン製の皿ももちろんですが、テグスを蜘蛛の巣状に編んでいくパフォーマンスが大変魅力的だったと思います。

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加藤IDAFIJI会長、加藤カリモク専務と田村ナオさん

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このところ出品者のメーカーに取り入ろうという意図が見え透いて小粒になってしまったと言われるサテリテですが、各国のデザイン系教育機関に呼びかけて構成されたコーナーには野心的な作品が並んでいたりします。その中で最も注目を集めていたと思われるのは神戸芸工大のブース。特にカメラでとらえた映像を瞬時に画像処理する、ジェスチャーインターフェースを用いたデジタルカメラは来場者の心をとらえていました。

 

【フオーリ・サローネ】

街中でもこれまでロシアやUAEを大口顧客としてきたイタリアン・コンテポラリーのメーカーは沈んでいました。ドバイ・バブル崩壊直後の昨年は既に開発済みの新製品を数多く並べていたのですが、今年は全体的にメディアにアピールするスター・アイテムを絞り込んでいる感じがしました。ミラノ市内のフオーリ・サローネ(見本市とは別に個別に開催されるデザイン展の総称)でも、勢いのある展示を行っていたのはイギリスのエスタブリッシュド&サンズや日本家電勢のキャノン、SONYだったり、セレクトショップのロッサーナ・オルランディといったところでした。

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このところ見逃せなくなってきているエスタブリッシュド&サンズ。2004年に旗揚げされたばかりの英国デザインチームのブランドです。

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 ロッサーナ・オルランディのショップとその経営者Nicoletta Brugnoni女史。

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カリモクはミラノ市内で個展を同時開催し、魅力的な新旧2つの顔を見せた。左の写真はモスコーヴァ通り近くの展示会場と加藤洋専務。

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サテリテで世界に初お目見えしたのが2003年。今では日本の最先端に位置するデザイナーとなった佐藤オオキ氏の個展を、ファビオ・ノヴェンブレ氏が雑誌のために取材するところにたまたま居合わせました。

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ドリアデの今年の目玉商品はファビオ・ノヴェンブレ・デザインのNEMO。脊面が完全に顔そのものになっていて、数多のデザイン製品の中でもその個性が際立っています。

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ノヴェンブレと並んで時代の寵児となっているオラ・イトーも、VIAがフィーチャーする形でトルトーナ地区で発表されました。

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今やデザイン・オリンピックの様相も生まれてきたフオーリ・サローネですが、各国デザイン展の中でも今年のピカ一はポーランドと言ってよいでしょう。オスカー・ジエタ等の新星が育ってきていて、負のヒエラルキーを崩すのはマージナルな辺境から、というセオリーが成立する感がします。

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ポルトナウフラウ・グループは最早デザインの先端を切るメーカーではなくなったようです。カッペリーニの今年の売りがディズニー・キャラクターでは、もうブランド価値はないにも等しいと思われます。

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日本勢のイベントでは今年の軍配はキャノンにあがったようでした。ディレクションは桐山登士樹さん、グラフィックは昨年と同じく粟津美早さん。キャノンのプロジェクターのクオリティを正確なプロジェクションで表現したインスタレーションは、単にイベントの盛り上げに終わらせることなくキヤノン製品の確かなプロモーションとなっていました。

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スワロフスキはシャンデリア部門がトルトーナ地区で、クリスタル部門がトリエンナーレで展示会を行いました。トルトーナの方の逸品は、グエナエル・ニコラ氏デザインのSPARKSという一連のLEDとクリスタルガラスがラインとなった照明で、コンピューター操作で雷光のように走る美しいものでした。 

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街中での今年の最大の呼び物は、DUOMO広場に面する百貨店リナシェンテのアーケードのショーケースでした。世界的な建築家、デザイナーのコンセプチュアルなインスタレーションがずらりと並び、オープニング・ナイトにはシルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマンスも加わって大変な雑踏でした。

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日本からは隈研吾氏が参加されていてワン・ショット。

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 トルトーナではDesign Partners(トルトーナ地区のディレクションを行っている)リボッティ氏を訪ねたところ、SAFI のコシェ社長他役員の面々と、ここでも出会いました。

(船曳 鴻紅)

 

2010年02月07日

バスチーユ地区 デザインの拠点

家具職人の街

フランスという国はご存知のように政府の民間経済への関わりが大変強い国です。ITサービス産業に象徴されるニューエコノミーへの転換が進む中でも、いまだに各種労働組合、産業協同組合の力は温存されています。たとえばVIA(フランス創作家具振興会)は家具の総売り上げの0.2%を若手のデザイナーの育成支援に使うことを政府から保証され、年間3ミリオンユーロほどの予算があると聞きました。そのVIAギャラリーを久しぶりに訪ねてみたのは、昨年9月パリに来たときに知人のインテリアデザイナー、シルバン・デュビッソン氏の個展を見逃してしまったのが残念だったからです。

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今回の展示は、キッチンとエコロジーを交差させたコンセプト展でした。北ヨーロッパに比べ、ストレートにエコロジーをデザインの前面に出すことが少なかったフランスですが、徐々に若いデザイナーの間に浸透し始めている感がします。

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ところでこのVIAのギャラリーは、バスチーユ駅の近くドメニル大通りAvenue Daumesnilに沿って延びるViaduc des Arts(芸術の高架橋)にあります。国鉄が通っていた架線路を上は緑が濃い屋上庭園の散歩道、下をアートや工芸に関わるギャラリーやアンティークショップ、カフェなどにテナントを限定している小粋な一画です。5月6月にパリに行かれたら、ぜひ訪れてみてください。

この架線下の再開発をパリ市が工芸の店舗街にしたのには理由があります。同じバスチーユから東に延びるRue du Faubourg Saint Antoineの界隈は、何世紀も前から家具などの工芸職人が職住する街なのです。

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大通りから一歩中に迷い込むと、パリとは思えない中世的な雰囲気が漂います。世界遺産となっているリヨンでも、こんな職人の現場がのぞき込めるところはそうはありません。旧い木製いすの修理をすると同時に、新しいセンスの張り地をほどこして(upholstery)みごとに再生することがフランスでは日常生活の中にまだ残っているのです。


Le Lieu du Design Paris Ile de France

パリは今グラン・パリとしての計画が進行しています。このパリ周辺を含むイル・ド・フランス地域圏議会議長で社会党のジャン=ポール・ユション氏が、地域圏開発局の新年会で挨拶しましたが、その内容はフランスが製造業で新たな出発をとげるためには大きな標語の一つとしてエコロジーがあり、それをいかに地域活性とつなげていくかという話でした。彼が代表となっている新しいパリのデザイン活動の拠点、昨年秋に設立されたばかりのLe Lieu du Design(デザインの場所)もやはりこのバスチーユ地区Rue du Faubourg Saint Antoineにありました。

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ここは、或る世界のトップブランド・メーカーの工房のアセットです。右側にまだ工房が残っていて、左側がLe Lieu du Designが借りた建物です。まだ一部改修中ですがEco-Creation, Materioといったイノヴェイティブなヴェンチャー・オフィスもテナントに入れて、活動が開始されていました。

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しかし日本だけでなくフランスでも、企業のデザインに対するイメージは、ラグジュアリーや美、お金がかかることといったところで、企業側がもっている社会的機能もデザインだという認識までは行っていないということでした。基本的な活動は各業種間の交流を図ること、デザイン賞の推進や、企業へのデザイナー紹介などのようです。今後は広報、マーケティングはもちろんのこと、音のデザイン、スペースも含めてあらゆるデザインのリクエストに応えていく意気込みですが、さすがに家具についてはVIAにお委せしていくとのことでした。ファッションもInstitut Francais de la modeがあるそうです。

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右側がGeneral ManagerのLaurent Dutheil氏、左側は運営主任のStéphane Simon氏

(船曳 鴻紅)

2010年01月31日

冬のパリ市内 DECO OFF

例年メゾン&オブジェの華とされてきたのが、大手インリア・ファブリック・メーカーが集まる「エディトゥール」のホールです。エディトゥールというのは、生地を編集するエディターという意味で、通常カーテン地などをメーカーとして世界市場に出しているのは、自社工場ではなく多くのファブリック工場に自社向け生地を発注している(ある意味で)商社となります。日本の場合ではサンゲツなどがこちらに入り、比較して東リはメーカー色が強いと言えます。

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以前はドイツのハイムテキスタイルが毎年華やかな新作柄を集めてショーを行ってきましたが、その巨大さが逆に中心性を失うところとなり、このところメゾン&オブジェの「エディトゥ-ル」が大手メゾンを集めて勢いを増していました。前回紹介しましたように、日本からはサンゲツやNEED'Kが出展しており、たとえば昨年のミラノ・サローネで家具のモローゾとコラボレートしたゴルランのような新しい行き方で成功を収めているカーペットメーカーも参集しています。

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GOLRAN

ところで今年は前回書きましたように、かなりの数のエディターがメゾン&オブジェ離れを起こしていました。もともとパリ市内にショールームを持っているので、現在の経済状況でコスト削減を図るということも一つの要因としてあったのだろうと思います。それらのテキスタイル・メーカーが今年仕組んだのが「DECO OFF」というイベントです。名前からしてミラノのフオーリ・サローネ(サローネ場外)をまねたものですが、同じように巡回車をパリの2区と6区に回して各社ショールームを訪問できるようにしていました。

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Rue du Mail:マルの中はPIERRE FREY、右隣にベルギーの照明MODULARのショールーム

まずはルーブルを北上するRue du Louvre沿いにあるRue du Mailには多くのテキスタイルメーカーのショールームが集積しています。フランスはもちろん、ドイツ、英国、欧州のトップブランドが並びます。

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各ショールーム前にバナーを出し、マリークレールがDECO OFFの編集に加わるのも、ミラノのフオーリ・サローネのコピーとも言えます

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しかしミラノとの大きな違いは、自然発生的なイベントをつなぐ形でインテリアデザイン誌インテルニが演出を行ったのとは異なり、こちらは見本市を離れたショールーム同士がビジネス・プロモーションを行っている点です。初年度のせいか取り組みもいささか中途半端で、上記はDECO OFFの巡回車待ち風景ですが、だいたい30分から1時間待ちさせられたため、海外からのビジターには大変不評でした(パリのデコレーターは自分の車がありますから)。

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NYA NORDISKAとCASAL

6区サンジェルマン・デュプレ周辺の中で日本人の間で評判が立っていたのは、ニアノルディスカでした。Saints Peres通り沿いですが少しわかりにくい場所にあり、いかにもフランスっぽいカザルと同じ中庭コートに面したショールームです。シンプルな柄は日本人好みですが、意外だったのはアラブ系のインテリアデザイナーらしい男女が店と打ち合わせをしていたこと。ショールームのスタッフもコトバからアラブ系と察せられ、アラブは重厚・華麗好みという先入観も過去のものとなってきていると感じた瞬間でした。

(船曳 鴻紅)

2010年01月30日

エティエンヌ・コシェ氏インタビュー

メゾン&オブジェこれからは?

ざっと今回のメゾン&オブジェをレビューしますと、2000年から続いてきた総合インテリア見本市へのイメージ拡大路線が少し後退し、より実商に根付いた実績重視の態勢になりつつあるのかなと感じました。その象徴が、パリ国際家具見本市を吸収して毎年ケルン家具見本市と1週間を隔たず開催してきたムーブル・パリを今年から9月開催に変更したことです。家具メーカーにすれば、北ヨーロッパ中心のケルンimmに1月出展し、世界最大のミラノ・サローネに4月出展するとすれば、その間になるパリ見本市は中途半端な存在になります。フランス国内見本市であったときはそれでも良かったのですが、国際見本市という位置づけでは世界のメーカーのスケジュールを無視することはできません。

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ホームリビング誌を発行する(株)アイクの長島貴好社長が、SAFI代表のエティエンヌ・コシェ氏へのインタビューを行うのに同席できました。長島社長は当初コシェ氏がメゾン&オブジェの改革を図った頃に比べ、今は先進性が衰えてきたのではないかと突っ込んだ質問をしたのですが、コシェ氏は見本市である以上出展者の実商とのバランスをとらなければならず、そのためには今の面積でイメージ創出と実商の双方をかなえるのは難しい、現在建設中の新しいホールが稼働するのを見てほしいと答えました。しかし「感性」を重視するスタンスに変わりはないと強調していました。

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新しいホールはホール6とホール7の間にChaix et Morelの設計で今年9月には建設され、新しいホール7となるそうです(現在の総ホール面積16.8万平米 → 20.4万平米)。その3.6万平米の広さの中にエディトゥール、インテリア・シーン、プロジェが展開し、現在のホール7(1.5万平米)はホール8となって、now!などイメージ創出型のセッションに9月はアウトドアが加わります。家具はムーブル・パリが戻ってきます。

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最後にコシェ氏が日本に一層期待すると付け加えたのは、日本の家電や自動車などのグローバル企業に登場してもらえないかということ。フランスを中心として日本に抱くイメージは、伝統日本もあるがまずはその技術力。何らかの形で日本の誇るテクノロジーをメゾン&オブジェでもあらためて披露してほしいということでした。ホール7に入るとまず目につくのはLG電子の大きなブース。昨今のサムスンの世界攻勢に比べ、日本のソニーにしてもパナソニックにしても広報力は一段と見劣りしています。結果として世界でのブランド・ランキングも下降するばかり。自己満足的な海外イベントには賛成しませんが、ここぞというところに費用対効果の高い投資を行うことは必要だと思えます。

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左から高田氏、コシェ氏、長島氏、加藤代表、杉本事務局長

(船曳 鴻紅)

sozo_commの他にも日本から出展

メゾン&オブジェでの日本の活躍

sozo_comm以外にも多くの日本企業がメゾン&オブジェには出展されています。その最大グループは2005年からJAPANブースとして出展コマを確保しているJETROです。全29社がJETROを通して出展していましたが、中でも有望に思えるのが次の2社です。

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マスキングテープにパターンをのせたのは、産業用の分野でトップを行くカモ井加工紙です。数年前に外部の女性デザイナー達が関心を持ちアイディアを寄せたのが始まりで、欧州では2年前のJETRO輸出促進部のブース(桐山登士樹氏プロデュース)でお披露目されて話題を呼びました。今回は写真左のJETRO輸出促進エージェントの草野信明氏がサポートし、ホール6にブース出展をはたして世界市場でブレークの兆しです。

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同じく草野氏のお薦めの豊岡のカバンメーカー、アートフィアーです。これまでは国内大手鞄メーカーのOEMを手がけてきましたが、今後は社長の実兄である由利佳一郎氏がデザインするオリジナルブランドを推し進める予定です。昨年は独ハノーバーでiF賞を受賞し、賞審査委員長のフリッツ・フレンクラー氏(ミュンヘン工科大学教授)からも絶賛された模様。三次元CGを駆使したデザインとそれを製品化できる豊岡の技術、地場産業のこれからを指し示す好例と言えます。

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JETROブース以外にも単独出展する有力企業が数多くあります。ホール6ではフランス文具市場でもはや定番となっているマークス・インターナショナル、世界のuchinoと今や呼ばれるようになったタオルメーカーの内野もホール2でイタリアのメーカー達と競っていました。上の写真はsozo_commにも参加している島村卓実さんのクルツがディレクションする津軽塗りas it is、桐生染色布kirmon、富士市の紙製品cuioraの共同出展ブースです。なかなか入ることのできないホール7のnow!に定位置をとっています。

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ホール1には飛騨のREMIX JAPANがプラネット・ムーブルも入れれば連続5年の出展です。写真は日進木工の北村斉社長とsozo_commの経産省日用品室担当官の梅津さんと鎌田さん。これまでの担当官はぎりぎりの日程しかとれなく十分な視察ができなかったのですが、お二人は時間があればsozo_commのことを夢中で話し合われているそうで、上司に掛け合って日数を延ばしたそうです。昨年の内閣府の事業仕分けで私は「神は細部に宿る」と現場を把握することがどれほど大事か強調しましたが、若い官僚の方ほど現場経験を積極的に積んでいただきたいと思っていましたのでうれしかったです。

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今年のエディトゥール(テキスタイルのホール)は昨年の半分以下の面積になっていました。2010年1月展は初日が暴風雨で、テントのパビリオンは大打撃を受けて出展者は実質1日半営業ができないことに。天災だけに見本市側も大幅な補償を行うことは原則としてできなく交渉が決裂した結果、市内に店舗を持つエディター(自ら工場を持たないカーテン・メーカーのこと)が今年は参加しなかったためです。

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その昨年に初参加し大きな成功をおさめていたNEED'Kは、今年も大手メーカーに負けないロケーションを配分されゆるぎないポジションを占めつつありました。社長の南村佳男氏はSAFIのNo2のフランク・ミヨ氏に次のように言っていました。「今年もある意味ラッキーでした。フランスなどの一級のインテリアデザイナー達が、これまでだったら大手エディターのブースに入ってその他のところはあまり回らなかったのが、今年は私どものところにも多数入っていただけました。新規の出展者である私たちが認知されるのに良い機会だったと思っています」と。漁夫の利、というのでしょうか。

(船曳 鴻紅)

2010年01月28日

2010年メゾン&オブジェ出展

sozo_commホール6に昨年に続き出展

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上のマップはメゾン&オブジェ国際室内装飾見本市が開催されるParis Nord Villepinte Parc des expositions(ヴィルパイント見本市会場)のものです。フランスの見本市会場にはこのように放射線状にホールが並ぶところが結構あります。各ホールはそれぞれのジャンル(ホール1:エスニック、ホール2:テキスタイル、ホール3:テーブルウエア・・・・)で仕分けられているので、そのジャンルだけに興味のある来場者にとっては希望のホールに直行できるメリットがあります。隣のホールに行くためには中央に一回戻らなければなりませんが、中央部に近い出展者は多くの通りすがり客を集めることができます。一方、ホール奥の方の出展者が新規顧客を増やしたいためできるだけ前に移りたい場合は、見本市側に認められる商品力をもつ努力とアピール力が必要とされます。

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昨年のsozo_commはホールの少し内側に入った場所が見本市運営会社SAFIからあてられたのですが、今年はホール6に入ってすぐ、入り口大階段の足下に出展場所をとることができました。見本市で成功する第一要因はロケーションであり、だからこそ見本市側は容易に最初から良い場所をとってはくれません。出展者のパフォーマンスを見据えた上で、次回の出展場所の見直しを行うのです。今年このようなベストと言っても良い位置をとることができたのは、昨年のsozo_commをいかにSAFIが高く評価してくれたかを表していると言ってよいと思います。

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ホール6は、今もなお最もメゾン&オブジェの伝統を伝えるホールです。ホール5などのメインは大手メゾンが毎年のイベントとして出展するのに対して、ホール6は基本的に中小のメーカーが年に何回かの新商品をここで発表し、その新規性と価格合理性を目当てに集まるバイヤーやエージェントを相手にするのです。当然人出も他のホールより数倍は多く、そのほとんどの人が通って行くsozo_commの場所は人の目をひく点では絶好のロケーションでした。

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経産省日用品室が催したオープニング・レセプションでは、SAFIのコシェ代表、製造産業局の後藤局次長、日本公使、JETROパリ所長が挨拶され、加藤IDAFIJ代表が政府をあげて応援していただくことへの感謝の辞を述べました。

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ブース内は人出に波があります。昼前に一度波が来て、午後一はランチタイムのためか少なくなってまた3時頃から混み合います。sozo_commに過去に参加された出展者は、経験を生かしてメゾン&オブジェ向けの商品構成をされていて(ex.陶磁器のミヤマプランニングは花瓶などのインテリアを加えていた)また初参加者も欧州市場を研究した上で出展に臨んでおり、結果はこれからですが大いなる成果が期待できそうです。

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今年で参加3年目のチクノライフはチクノキューブという竹炭を使った消臭剤のメーカーですが、地味な商材であるにもかかわらず昨年は女性ファッション誌「グラムール(Glamour)」のCoups de Coeur賞を受賞しました。竹炭石けんの泡立て実演をするなどセールス・トークにも年々磨きがかかり、今年はかなり大きい取引を何件か成約させていました。出展者のビジターに対する応対を拝見していると、「契約を取る」というビジネス上の成功は単に商材の質や価格といった魅力だけでなく、いかに売り込むかという気迫も結果を大いに左右しているように思われます。

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全員集合
今年sozo_commに参加された方々です。
メゾン&オブジェの会場のそこかしこから、sozo_commブースが昨年にも増して充実した内容だとの声が届いてきました。よく見本市には連続して出展しなければ意味ないし効果が見えるのは3年目からと聞きますが、それはバイヤーへの認知度をあげるといったことだけでなく、メーカー側が見本市の特性やバイヤーのニーズをとらえて商品開発し持ち込むには最低1年はかかるためだと思います。

(船曳鴻紅)